インターネット・プロトコルは、パケット交換型ネットワークにおいてホスト間のパケット転送とルーティングを担う基本プロトコルで、IPv4とIPv6が主に利用される。
概要
インターネット・プロトコル(Internet Protocol、略称: IP)は、OSI参照モデルにおけるネットワーク層の通信プロトコルであり、パケット交換型ネットワークにおいて送信元ホストから宛先ホストへのパケットのルーティングと転送を担う。インターネットアーキテクチャの中核を成し、IPv4およびIPv6の2つの主要バージョンが広く利用されている。
歴史
インターネット・プロトコルは、1970年代にアメリカ国防総省が開発したARPANETに端を発し、その標準化は1981年にRFC791(IPv4)として発行された。その後、アドレス枯渇問題や拡張性向上の要請から、1998年にRFC2460(IPv6)が策定された。
機能と設計
IPはコネクションレス型のプロトコルであり、信頼性確保や順序制御は提供しない。上位層プロトコル(例: TCP)がエラー検出・再送制御を担う一方で、IPは次の機能を実装する:
- アドレッシング: 送信元・宛先IPアドレスの指定
- フラグメンテーション: パケット長がネットワークMTUを超える場合の分割と再構築
- ルーティング: 経路選択と中継ノードへの転送
バージョン
IPv4
- アドレス長: 32ビット(約42億個のアドレス空間)
- ヘッダ長: 可変(20~60バイト)
- 主な課題: アドレス枯渇、セキュリティ機能の限定
IPv6
- アドレス長: 128ビット(膨大なアドレス空間)
- ヘッダ長: 固定(40バイト)
- 特徴: 拡張ヘッダによる機能拡張、内蔵されたIPsecサポート、簡素化されたヘッダ構造
パケット構造
IPパケットは、共通ヘッダ部分とペイロード部分から構成される。主なヘッダフィールドには以下が含まれる:
- バージョン
- ヘッダ長
- サービスタイプ(Type of Service)
- 全長
- 識別子、フラグ、フラグメンテーションオフセット
- TTL(Time To Live)
- プロトコル識別子
- ヘッダチェックサム
- 送信元・宛先IPアドレス
実装
多くのオペレーティングシステムやネットワーク機器には、IPスタックとしてIPv4およびIPv6の実装が組み込まれている。代表的な実装には、BSD系のネットワークスタック、Linuxカーネルのネットワークサブシステム、商用ルータOSなどがある。
関連項目
インターネット群
- HTTP
- SSH
- DNS
- SSL
- FTP
- SFTP
- VNC
- RDP
トランスポート層
インターネット層
- IP
ネットワークインターフェース層
- Wi-Fi
- Ethernet
- Bluetooth
- LTE
- 4G
- 5G
- LoRa